ナチョ・リブレ 覆面の神様

幼いころ両親に捨てられ、メキシコの修道院で料理番として働くイグナシオ。まともな食事ひとつ作れず、いつもヘマばかりの彼は、周囲の大人たちからみそっかす扱いされている。そんな折、町で見かけた新人ルチャドール(プロレスラー)募集のポスターに心を動かされたイグナシオ。教会では観戦すら禁じられているこの競技に男の生き様を感じた彼は、町のコソ泥を相棒にこっそりデビュー。やられ役として妙な人気を獲得していく。



すでにハリウッドスターとしての風格すら漂うジャック・ブラックと周囲との温度差がかみ合うようでかみ合わず、最後までダラダラしてしまった印象。「大人だけど中身は子供のまま」って確かに彼のパブリックイメージではあるけど、その裏にはどこか「本当は自分がダメな奴だって知ってるんだぜこれはワザとやってるんだぜ」という哀愁が潜んでいるものなのに(いや、私が勝手に決めただけですが)、「表」だけを切り取って役にしちゃあうまくない。まだイメージが定着していない、もう少し無名の人のほうが主演にはよかったのかも(それだと公開はされないだろうが)。
「ナポレオン〜」そのままのオフビートなテンポに漂うJBはなかなか新鮮でしたが。でもやっぱり、この人はギラギラしてるほうが似合うよ。1979年生まれの監督が描く世界は(もちろん意匠としてだろうが)ままごとのような幼稚さに溢れていて、大人はみんな分かってくれなくて、ヒロインは常に高嶺の花で、登場人物のプライドだって手のひらに収まるくらいの大きさで…。そんな世界には、やっぱりジョン・ヘダーぐらいの無表情さがちょうどよかったんですね。