ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習

笑いの基準なんて千差万別なので当然かも知れませんが、コメディ映画、特に海外のを観てると、観ている側の人間の笑い力(ちから)を試される気分になるというか、笑ってOKな場所かどうかちょっと手探りになっちゃう箇所がままある気がするんです。これ多分ギャグなんだけど面白いのかなー、でもこれスルーしちゃったらああアナタこれ見て笑えない人なんだ、お高くとまってセレブ気取りですかコノヤローみたく思われちゃうかなーみたいなね。ね、じゃねーよ。
というのもボラットさん、上映内容にあるだけでも3〜4回通報されてるんですよ。そんでうち1回はマジ逮捕されて警官にボコボコにされてるんですよ。観てる側はうわ大丈夫なのこれ笑っていいのってなるでしょ、そんな緊迫感あふれるシーンでさらに渾身のギャグを言い放つボラットさん。もうカオスどころの話じゃないです。
ただ、全裸で走り回ろうがクマのウンコにまみれようが、きちんと体を張って笑いを生み出す彼らには、不思議な潔さがある。やってることの是非や政治的揶揄はよくわかんないですよ(すいません)、でもね、好感を覚えずにはいられない。ベロンベロンに酔っぱらってもどんなに周囲から敵意を向けられても決して自分のキャラクターを崩さない、その意味不明なまでに頑迷な姿にはうっかり感動すら感じてしまいます。なんかね、これはほんと「バカだけどスゲー」としか言いようがないです。