ブラック・ダリア

40年代アメリカ。映画の都ハリウッドで、女優志望の若い女性が殺された。死体は口が耳まで切り裂かれ、体は真っ二つに切断されるという異様なもの。元ボクサーで、コンビを組んで活躍していたバッキー(ジョシュ・ハートネット)とリー(アーロン・エッカート)の両刑事は別の事件の捜査中、偶然発見現場に遭遇する。リーはなぜかこの「ブラック・ダリア殺人事件」に異様な執念を燃やし、常軌を逸してのめり込むようになる。一方バッキーは、被害者とそっくりな格好をして夜の街を徘徊するマデリンと出会い、彼女に溺れていく。



「マッチポイント」とこれが連続して上映されるということは、スカーレットはもうアート系からは足を洗ったと、もうこっちの世界の住人だと、そう考えていいんですね。
というわけで(つながってない)「マッチポイント」とほぼ同じ役柄なスカーレット×実生活でもゲットされちゃったジョシュ君共演による、デ・パルマ監督の新作サスペンス。
これ、結論から言うと…「???」でした。よくわかんない。
これは観る側(私)にも敗因がありまして。今まで私が観たデ・パルマの作品って「スカーフェイス」「カリートの道」のもろギャング映画か、「アンタッチャブル」「ミッションインポッシブル」のもろ商業映画しかないんですよ。でも「ブラックダリア」っていかにも「殺しのドレス」とか「ファム・ファタル」とかの耽美系トリッキーサスペンス*1で、しかも監督の主流とする作風もこっち(っぽい)んですもの。何となく準備体操くらいは必要そうな映画だなーとは思ってたんですが…。
もうね、話がポンポン飛ぶから、誰が何だかイマイチわからんかったです。あのビン底メガネ男は結局なんだったのぉ…。アーロン・エッカートはなぜ事件にあんなに執着したのぉ…。ジョシュ君は事件解決に奔走するどころかすぐしけ込むし。働きなさいよ。これは、観たままを受け止めればそれでよいのか?考えたら負けなのか?オマエは香港映画か!(つっこみ)
もうひとつの敗因(言い切る)は、オスカー2冠の彼女ですね(方々で言われてるけど)。ヒラリーが今までやってきた役って、性同一性障害に悩むホワイトトラッシュでしょ、30過ぎてボクサーを目指すウェイトレスでしょ、全部ど根性系じゃないのよ。今さらそんな、胸元の広く開いたドレス着てくねくねと歩かれても、戸惑いを隠せないというか、いつもブレザー姿の学級委員長が街中で見たらキャミソール着てたくらいの気まずさが漂います。ラブシーンもぎこちなくて、違う意味でハラハラしてしまう。
スカーレットは金髪&真っ赤なルージュで、意外やクラシカルな雰囲気にマッチしてます。出演シーンの多さや役柄のミステリアスさを考えると、マデリンは彼女のほうがよかった気もしますね。(ヒラリーごめんよ嫌いじゃないんだけど…)
後半は話のテンポも良くなってきて、面白く見られました。ノワールな雰囲気はいいですね。ビルの吹き抜け階段で追いつ追われつするシーンも美しい。
一番ホラーだったのはマデリンのおかん役のフィオナ・ショウですね。ヤク中でヒステリーで毒舌家というどうしようもないキャラなのですが、まあお上手。常にワナワナしていて、画面にいるだけで強烈な違和感を放っています。誰かと思えばハリポタのおかん(いじめっこ側の)じゃないか。嫌なおかんといえばこの人なのか?

THE BLACK DAHLIA

2006年/アメリカ 監督:ブライアン・デ・パルマ 出演:ジョシュ・ハートネットスカーレット・ヨハンソンアーロン・エッカートヒラリー・スワンク、ミア・カーシュナー、フィオナ・ショウ、ビル・フィンレイ

*1:観たことないのでイメージのみで述べた結果、支離滅裂なカテゴリーになっていることをご容赦ください。