レミーのおいしいレストラン

bibio2007-07-26

ピクサーのすごいところは、絶対に面白いっていう保証があること。なおかつ、常に新しい表現を開拓しようと挑戦しつづけることだと思うんです。技術なんは「バグズライフ」のころから比べると恐ろしいほど進化しているし、今のレベルだったら何をアニメにされても多分納得して観ちゃうと思う。けど、制作側はそれで満足してないんですよね。「まだまだ俺たちこんなもんじゃないぜこーんな絵とかも作れちゃうんだぜ」という押しの姿勢が観ていてグイグイ伝わってくる。だから、虫のおもちゃの怪物の魚の車のと、世界観をコロコロ変えて作品にしても破綻がない。もちろん、しっかり練られたストーリーラインによる裏打ちもあるでしょう。この2本柱が両立するって、しかも両立し続けるってのは、やっぱりすごいと思います。

と持ち上げておいてなんですが、今回、ちょっと地味じゃね?映画って「カリブの海賊」みたいなビッグバジェットばっかりじゃなくて、例えば「フォーンブース」とか「16ブロック」みたいな、派手さはないけどヒネリが効いてて面白い話、ミニシアター系のちっさいハコで観て「これは拾い物だな」と一人ほくそ笑むような、そういう小作品も多いと思うんです。で、この「レミー」、どっちかっていうと小作品系に入る気がするんですよ。お話の中心となるのがレストランなんでスケールもちっさめ、登場人物も多くないですし。おまけに今回は人間が住む現実の世界が舞台で、そんでもって絵もストーリーもこなれてるから、時々実写を観てるような気分になる。絵としての興奮が少ないというか、モンスターズインクとかインクレディブルズを見たときのような、ああすごいもん観たー!っていう感覚に欠けるんですよねえ。

まあ、面白ければそれでいい、とも思いますけど、何つうかちょっと期待はずれ?メガマック食いに行ったらつくねライスバーガーが出てきた気分とでもいえば、いや分かりづらいよ。やっぱりピクサーなんで新作だワーイって観に行くでしょ、それが、ああ、今回こんな感じなんだみたいな。別にまあ、こういうのも悪くないけど、ちょーっと消化不良かなあ、レストランだけに(うまいこと言いましたよ今)。ただ、ねずみは凄いですよ。かさこそ走り回る姿とか、雨に濡れたときの質感もそうですし、あとは表情の付け方。やけにリアルなねずみなんで最初「うわっ」と思うんですけど、お話が進むにつれ案の定かわいく思えてくる。やっぱり今作のメインなんで、ねずみには力を入れてますね、ディズニーだけに(またうまいこと以下略)。

Ratatouille

2007年/アメリカ 監督:ブラッド・バード、ヤン・ピンカバ 出演:パットン・オズワルド、ブライアン・デネヒー、ジャニーン・ガロファロー、ビルボ・バギンズ