テラコッタ・ウォリア 秦俑

ケイズシネマの「中国映画の全貌2007」で鑑賞。観ていてお尻がモゾモゾするような、妙な居心地の悪さを感じていたんですが、途中で気づきました。この感覚、覗き見だ。だってこの作品、主演がチャン・イーモウコン・リーで、しかも内容は二人が障害に阻まれながらも一途に思いあうラブロマンスなんだもの。それ、モロ君らの私生活じゃねーのって話ですよ。本来なら他人には隠されているはずのプライベートに図らずも踏み込んでしまった気分ですよ。いや、もちろんこれは映画ですからね、お二人は演技としてやってらっしゃいますので、観ているこっちがこんな気まずい思いをする必要は全くないんです。むしろ色眼鏡で観るほうが姿勢として間違ってるって何あのラブシーンの生生しさ。いやもちろんお二人はプロですから一切私情を交えずにお仕事としてやってらっしゃると思うのdとはいえ私がわざわざこれを観に行ったのも8割が野次馬根性からだったりするので(残りの2割は「ハニワ戦士」という題が気になったからですが*1)、まあ、あの、文句をいう資格はゼロです。なんかこれ、スクリーン上映は日本で初めてだそうで、わりと貴重なものを観たってのにそんなことばっか考えてました。
お話は秦の始皇帝が中国を統一したところから始まります。主人公の蒙天放(モン・ティエンファン)は始皇帝に仕える剣士。忠誠心にあつい節士だった彼ですが、人身御供の童女・冬兒(トンアル)と許されぬ恋に落ちてしまったことから運命が急転直下。皇帝の怒りを買い、冬兒は火刑、天放は俑として墓所に埋められてしまいます。今生の別れに冬兒が天放に与えたのは、彼女が密かに手に入れていた不老長寿の薬でした。
そして時は流れ1930年代。長い眠りについていた天放は、冬兒に生き写しの二流女優、朱莉莉によって目覚めさせられます。「冬兒!お前はワイの冬兒なんや!」とひつこくつきまとう天放を最初はうざがっていた莉莉ですがそこはあれですよ、いろいろトラブルが起こってその都度天放が彼女を守るんですよ。そうすると、エンダァァ〜イヤァ〜イア〜〜*2の法則で二人の距離が縮まるんですが、がしかしっ!とゆう、壮大なんだか荒唐無稽なんだかという話です。まあね、導演がチン・シウトンだからってのもあるでしょうが、チャン氏の剣さばきのかっこええこと!そもそも「映画監督」という印象しか持っていない立場から観ればですよ、まあアクションはキビキビとこなすでしょ(顔写ってないシーンも多いけど)、前半のメロウな悲恋物語ではストイックかつ男気あふれる演技で魅せたかと思えば、後半の近代中国パートでカルチャーギャップに戸惑う様子では絶妙なコミカルさを披露とほんと何者ですかあの人は。マルチすぎるだろう、人としてマルチすぎるだろう。コン・リーも初期のころなんで初々しく清純なキャラクターで登場するし、「人に歴史あり」な感じで面白かったです。あといきなりテロップで「2000年後」とか出せるあたり中国やっぱすげえと思った。

古今大戦秦俑情 A TERRA-COTTA WARRIOR

1989年/中国・香港 監督:チン・シウトン(程小東) 特撮:ツイ・ハーク(徐克) 出演:チャン・イーモウ(張藝謀)、コン・リー(鞏俐)、ウー・ティエンミン呉天明

*1:キョンシーみたいな感じで墓から出てきたハニワが人々に襲い掛かる話、だといいなと思ってました。

*2:イウオーウェイ〜アァ〜〜ビュ〜ウウゥゥア〜〜