かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート
あまたの作品がひしめく香港映画において、ドニーのアクション演技が非常に高いクオリティだというのは周知の事実であります。ご本人もアクションには大変厳しいというのはよく聞く話だし、それにはもちろん何の不満もありません。あるはずもないのです。
ただし、ただしっ……!
兄貴、今回の共演者はニコラス・ツェーとショーン・ユーでしたね。二人とも若く、そして鼻筋の整った美形さんですね。それは、100人中100人が同意するところだと思うんです。ええ。
それなのに兄貴、なぜこの3人の中で一番モテモテなのがあなたなのですか。
一番強い、というのはまだ分かるんです、当然ですから。しかしあなたは何ですか、肌もあらわなセクシー美女に言い寄られるわ、しかもそれをすげなくあしらうわ、しかし最終的にはラブいシーンまで演じるわとまあ色男要素のオンパレード。ほかの二人は哀れヤンチャな坊主扱いですよ。もうね、「おまえ40すぎのおっさんやんしかも別にハンサム違うやん」という観客からの総ツッコミが聞こえかねない勢いでしたよ新宿シネマートは*1。正直ファーストカットで異様に若作りした兄貴が登場した時点で、私は椅子からずり落ちましたよ。3ミリほど。
例えていうなら、兄貴はプワゾン。そう、登場するだけで濃厚な存在感を漂わせる、魔性の香水なんです。問題なのは、放っておくとどんどん自由に香り始めていくこと。誰かが中和しない限り、兄貴を止めることは至難の業なんです。前作「SPL」では、ベテランのサイモン・ヤムと大御所サモ・ハンのお二人がいました。しかし今回の共演者は2人のチャラい若者。力及ばず兄貴の引き立て役に回ってしまったとしても仕方ないのかもしれません。
原作が香港の長寿コミックということで、ベースにいわゆる「武侠もの」があるんですが、なんの説明もなく武侠ものの設定が出てくるのでちょっと日本の観客には不親切かと。いきなり「降龍十八掌」とか出てきても「?」な人も多いだろうし、「ダメージを受けた人が気脈を巡らせ自分で体力を回復する」という武侠小説ではよくあるシーンも、はたから観りゃ単に寝そべってるだけだしねえ…。あとドン・ジエ嬢はどんどん永作博美に似てきてますね。
*1:平日夜なせいか観客は私含め3人でしたが