ひとこと感想
- パフューム ある人殺しの物語
正直あのクライマックスがギャグにしか見えなかったので「そうかこれはトンデモなんだなイヤーいいもの目撃した!」などと勝手に盛り上がりながらいくつかのレビューサイトを見てみたら何だか全然そういうニュアンスじゃなくて、どうもあのあたりは原作そのまんまらしくて至極真面目にとらえた意見ばかりだったので下らない人間でゴメンと思った。それはどうでもいいんですが、いくら原作どおりとはいえそのまま映像にしちまうとは勇気のある監督さんですな。でも、これを星爺が料理したらもっと完璧なコメディになったろうに(違うっちゅーに)。天才肌だけどロクデナシの香水調合師がヒロインの気を引くために究極の香水作りに没頭して、ついに万人を魅了する魔法の香水を完成させる訳ですな。そんでもってその力を利用して成り上がりつつ、ヒロインに近づいては一服盛る機会を伺うんだけどいつも邪魔が入ってなかなか成功せず、そうこうしてるうちにライバルの調合師に香水を盗まれ、星爺はあわれ一文無しになるんだけど、カンフーの修行をして一流の調合師として蘇る…ってそれは「食神」だ。*1
リバイバルで落ち穂拾い。これはよかった!文句なしに面白い!この年になると、高校生が主人公の青春ものなんて聞きゃーそれだけで心のシャッターを閉めてしまいがちなんですが、あまりにもバカで素直で伸びやかなヒロインのキャラクターに完敗。実際あんな友人関係ありえねーと思いながらもグイグイ引き込まれてしまいました。実際に綿密な取材をした上で作られたという学校や街の風景も、リアルだけどちょっと懐かしい感じのする、独自のメルヘンを漂わせていて素晴らしい。そうね、時間は大切にしないとね…。
これも落ち穂拾い。泣 い た … 。蒼井優も素晴らしいけど、松雪さんも全然負けてないのでは。トヨエツはまあ、ちょっと浮いてる気がしたけど。いくらでもお涙頂戴ものにできそうな題材なのに、やりすぎの一歩手前で踏みとどまり、実話ベースの重みも感じられるようになっている。ラスト、圧巻のダンスシーンは劇場で観といて本当によかった。
原作を読んだのが10年ほど前。高校生だった当時は夢中になったものでしたが…。年月を経た今、アニメとして目の当たりにすると……なんだ、この居たたまれなさは?! おいらが当時ハマっていたものは、かように青臭い物語であったのか?…多くの松本フォロワーが出回る昨今ですから、こちらの眼が麻痺してしまったのもあるでしょうが…原作におおむね忠実に作られているだけに、なんかちょっと恥ずかしいというか、妙な居心地の悪さを感じてしまいました。原作の、驚異的にギッシリと書き込まれた宝町を損なうことなくヴィジュアル化した世界には「おおっ」と思いましたが。あと、蒼井優の上手さはそら恐ろしいですね。「オラの人生はオラのもんだ!」と叫んでいたのと同じ娘さんとはとても思えん。
- 王の男
これは、宣伝を見て想像していたのとはちょっと違いました。しかも悪い意味で。いや、だって美少年が出てきて王宮の陰謀に巻き込まれてそんでキャッチコピーは「そこより奥は見てはならない」でしょ?「御法度」ばりのディープなホモ世界を期待想定していた私を誰が責められよう、いや責められ、いやしかし(ry。ただ、これは役者さんがいいですね。稚気と狂気が混在する「狂王」ヨンサングン役のチョン・ジニョンは、初めて見たんですがベテランの力量が伺えるなりきりっぷり。美少年を常に支える兄貴分カム・ウソンも、オイシイ役どころとはいえ好演。韓国宮廷の様子も絢爛でした。惜しむらくはなあ…ホモがなあ…(まだ言う)
肩のこらないカワイイ話。主人公はニュージーランドからアメリカはソルトレイクまで、単身バイクを引っ張って旅をするわけだけど、周囲の人がみないい人たちばかりで揃って彼の手助けをしてくれるんですね。何故そんなにうまくいくんだよオイオイ、と思わないわけでもないですが、朗らかな好々爺を演じるアンソニー・ホプキンスが非常にチャーミングなので、まあいっか、という気がします。きっと実際のバート・マンローさんも、本当にこうだったんだろうなあ。ただ、物語は70年代が舞台なんですが、それがあんまり感じられなかったのが残念。大会の出場規定も知らずに出かけるなんて、ネットもない当時ではそれほど不自然なことではないんでしょうが、少々非常識な人物という気がしてしまうので。
おそらくアジアで一番忙しい男、アンディ・ラウの最新主演作。明らかにファン・ビンビンとのロマンスは不要ですが、それ以外は手堅くまとまっていてよかったのではないかと。「Battle of wits」が副題ですが、「知略」の部分は冒頭でさらっと描かれるだけ。あとはアンディの「カリスマ性」が大きな武器になっちゃってますね。全編北京語なんですが、アンディは吹き替えとしても、アン・ソンギは自分で当てたのかな?
Perfume: The Story of a Murderer
2006年/ドイツ・フランス・スペイン 監督/脚本:トム・ティクヴァ 出演:ベン・ウィショー、ダスティン・ホフマン、アラン・リックマン、レイチェル・ハード=ウッド
THE WORLD'S FASTEST INDIAN
2005年/ニュージーランド・アメリカ 監督:ロジャー・ドナルドソン 出演:アンソニー・ホプキンス、クリス・ローフォード、アーロン・マーフィ、クリス・ウィリアムズ
墨攻 A BATTLE OF WITS
2006年/中国・日本・香港・韓国 監督:ジェイコブ・チャン(張之亮) 出演:アンディ・ラウ(劉徳華)、アン・ソンギ(安聖基)、ファン・ビンビン(范冰冰)、ニッキ―・ウー(呉奇隆)
*1:実際の映画の内容とは全く違います。念のため